おはようございます、享佑です。
福岡市中央区大手門の鍼灸院「オフトンはり灸院」で鍼灸師をしています。土日は社会運勢学会認定講師として「九星気学」や「易経」のセミナーの講師をしたりしています。
さて、今日はよく患者様から聞かれる「西洋鍼」と「東洋鍼」の違いについて。正直言って、かなり誤解をされているものだと思います。
結論から言えば、この二つに明確な違いなんてない。
ただ、思想の重心が中国古典にあるのか、もしくは近代における西洋での鍼灸の研究にあるのか。その違いだと思います。よく「東洋鍼の方が優しい治療でしょ?」と聞かれるけれど、これは大きな間違い。中国鍼というのは、見るとびっくりするほど太い鍼を使ったりします。また50cmはあろうかというような長い鍼を使ったりもします。
これのどこか優しいのか。
ただ、日本の鍼灸師は普通、こんなに太い・長い鍼を使ったりしません。そんなことをしなくても効果を出す技術もあって、そちらを選択して研究してきた歴史があります。
また「電気鍼は西洋的だね」と言われることもあります。これも明確に間違っています。
だいたい、電気鍼(鍼通電と言います)によって、世界を驚かせたのは中国です。
「電気=西洋的」という図式が、どこか西洋に対するコンプレックスを表しているようで好きではありません。
「ツボじゃなくて筋肉などの軟部組織を狙って打つのが西洋鍼だよね」とも言われます。とんでもない誤解です。
東洋医学にも「経筋」という概念があります。
どこか東洋医学というと、非常に概念的で非現実的なものと思われますが、東洋には「相(=内面の事情が外面に表現される)」という考え方があり、東洋医学も体表観察はかなり詳しく行っております。確かに解剖学的には、遅れをとったとは言え、それは顕微鏡の発明がなされてからの話であって、それ以前は西洋医学も解剖学が東洋よりも進んでいたとは思えません。
西洋の医者だって、ついこの前までは、「病気=悪い血が溜まっている」と考え、とにかく瀉血しまくっていたという歴史もあります。
西洋医学が科学的になったのなんて、ついこの間からです。だから、ほとんど手技的には洋の東西なんていうのは区分されるものではないのです。西洋鍼も東洋鍼も、鍼で身体に穴を開けていることに違いはありません。
また、手技で動かしたり、電気を使ったりして刺激を与えるのも変わりません。明確に違うのは、やはり「治療に向かう際の姿勢」です。患者の身体の中に宇宙を見るか、それとも物質の集合体と見るか。
それだけの違いなのです。
当院では毎月一回、鍼灸師みんなで東洋医学の勉強会をします。
内容は
●陰陽論
●五行論
●易学
●顔相学など、多岐に渡ります。
「姿勢」とは「四正」であって、東西南北の線を示します。身体であれば、正中線と正横線。勉強であれば、あらゆる範囲の学びを修めることです。鍼灸という南北の子午線から横に派生する様々な学問。妥協すること無く、学び続けて、人間生命の中に宇宙を発見する。
こうしたことを志している我々は、どう考えたって東洋的な治療家集団なのです。
余談になりますが、院長の福本光由希先生の得意な手技である「パルス(=鍼通電治療)」は鍼灸師から見てもすごいです。
あれほど上手に筋肉に収縮を起こさせることができる人はなかなかいません。僕なんて、彼女のパルスを見るたびに惚れ惚れしてしまいますし、若干の嫉妬を感じたりします。
さすが、柔道整復師の資格も持っているだけのことはあります。
だけど、彼女の治療はどこまでも東洋的です。ぜひ、一度受けてみてくださいね。
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そんな彼女は、実はお灸が大好き。写真は彼女の代名詞(と勝手に僕が思っている)である灸頭鍼の様子です。鍼を刺しながら、お灸を施し、身体に熱を優しく入れていく技術です(これも結構、難しい技なんですよ!!)