東洋医学のある暮らしセミナー4回目は5月23日!

東洋医学の観点から見た美容鍼の重要性

こんにちは、享佑です。
福岡市中央区大手門の鍼灸院「オフトンはり灸院」で鍼灸師をしております。

さて、G.Wもいい感じでたくさんのご来院をいただいております。
当院が、そして東洋医学が必要とされていること、本当に嬉しく思います。
5/6,7(土・日)は東京で、東洋医学と東洋思想のつながりを語るセミナーです。それまではフルで出勤しますので、ぜひご来院ください。

当院では「博多美鍼(はかたびじん)」という美容鍼のコースと、さらにフェイシャルトリートメントを加えた「KAO」(きれい・げんきコース)という二つの美容のコースがあります。
KAOに関しては、全体像の設計などに携わらせていただきましたが、もしかしたら今後、実際に治療にも入らせてもらうかも知れません。(まだ未定ですが。)

この「美容鍼」というのは、2000年に入って以降、急速に伸びてきた鍼灸の分野です。それまでなかなか儲からなかった鍼灸院の貴重な稼ぎ頭となった技術です。非常に優秀なマーケッターがいたんでしょう、きっと。
当院でも美容鍼をやっていますから、当然、これを否定することはないのですが。ただ、昨今の美容鍼を取り巻く状況を鑑みると
「儲かるからやっている」
というのが滲み出ており、あまり好きになれません。

インスタ映えばかりを狙って、必要以上に鍼を刺すのも見ていて決して気持ち良いものではありません。やはり健康であれば、自然と美しさというものは表現されるものであって、あまり人為的に無理に美しさを引き出す必要もないと思っています。
ただし、これは前述した通り「美容鍼」というものを否定するものでもありません。
むしろ、僕は積極的に「美しさ」を磨くべきだと思っております。
「人間、顔じゃないよ」
とおっしゃる方もいるでしょう。確かに顔が全てではないですね。顔が全て!なんていう考え方はルッキズムの極みであり、そんなものに乗る気にはなれません。だけど、やっぱり顔は大切なのですね。
それは中国古典というものが顔の観察を通じて心身の状態をつかもうと試み続けてきた歴史があるからです。
黄帝内経素問には、4つの診断法が述べられています。

それがいわゆる「四診」であって、それぞれ「望診」「聞診」「問診」「切診」です。

「望診」は言わば体表観察であって、顔色だったり肌のキメやかさつきであったり、筋肉の付き方であったり。およそ、外面から視覚的に得られる情報を集めることで、患者の状態を知る技術です。当然ですが、「顔」というものは最も外部に露出されているものですから、顔を見ることが中心となってきます。舌診なんかも、ここに含まれます。

黄帝内経は黄帝という王様(これが生まれながらにめちゃくちゃ頭が良かった王様なんです)が鍼灸技術を後世に残すために作ったものとされているのですが、ここから分かるように、鍼灸(というか東洋医学)は元来「貴族のためのもの」であったわけです。黄帝の出現により、それが大衆にも開放されるようになったわけです。

だから、それまでの診断法は望診がメインでした。だって、貴族や王様に易易と近づくことはできませんし、また身体に触れることもしづらい。「無礼者ぉっ!」なんて叩き切られたらたまらない。

でも、体表観察だけで全てを知るのって、至難の技。だから、望診は「神技」とも呼ばれます。

「聞診」は問診と混同しやすいですが、これは声の調子だとかその人の発する臭いだとか、そうした「目に見えないもの」から情報を取得する技術です。こうした臭いだったりはっきりと言い表しがたい雰囲気といったものを「気味」と言います。気味が悪いなどと使いますが、これは実は東洋医学の言葉です。

望診だけでは分からないものを、もう少し対象の患者に近づいて診断していきます。これもまた万人において共通認識を得られるものではないため、一部の限られた能力者による「聖技」と呼ばれます。

「問診」は現代でも使われるように、病気や生活習慣、自覚症状などを事細かく聞き出す技術です。工技と呼ばれます。

「技」と言う通り、これは技術です。聞き出す技術であり、得た情報を基に病証に落とし込んで、実際の治療方針を立てていくという技術です。技術ですから、やればやるほど上手くなります。

ただし、やはり基礎技術がなければ応用技術は育つことはありません。僕の強みはおそらくここにあって、東洋医学の基礎になる東洋思想を十三年学んでいるのは、圧倒的なアドバンテージだなと自覚しております。気学が分かると、東洋医学の弁証(病気の証を弁えること、分類すること)がよく分かります。というよりも、気学抜きに、どうやってみんな弁証をしているのだろうかとさえ思います。

「切診」は切ることではありません。切というのは「触れる」という意味です。もう少し言えば、おそらく接触を通じて、相手の身体の中を切り開くかのごとく詳らかに見るというニュアンスが含まれています。

我々は、患者様の身体に触れながら色々な情報を得ています。脈の拍動や肌の潤い・乾燥。体表に現れた凹凸や肉付き、温度などなど。こうした変化は、体内の物質の量や分布の変化によって生じてきます。だから、しっかりと触れながら、様々な情報を得ていくわけです。

遠くから見て(=望診)、近づいて嗅ぎ取って(=聞診)、実際に言語による情報収集をして(=問診)、それでも分からないことは身体に聞くわけです。

もちろん、高貴な人の身体に触れることは恐れ多いことであって、だからこそ、一番下に置かれています。これを巧技と呼びます。

顔相の鑑定というのは、望診から発展した鑑定技術です。最も重要な東洋医学の技術を占術として応用したものと言っても良いのかも知れません。黄帝内経でも、ちゃんと「ここにできものができる人は病的な性癖がある」とかちゃんと書かれていますよ。こうした事実を知れば、顔相などの占術も「うらないでしょ?」なんて軽んじられることはないはずです。まぁ、軽んじられるのは、一般の方の無知以上に、鍼灸師の堕落の方が原因としては大きいでしょうね。

とにかく、顔というのは、望診で最も重要な部位となります。そこに健康状態がはっきりと現れる。

ここから少し専門的な話になります。

陰陽論では全てのものを陰陽に分けます。そして、陰陽はそれぞれ対立し、制約する。すなわち陰と陽とは独立しつつ、連絡している。で、身体でいえば、陽の極みは顔です。だから、顔は冬でも露出しているのにも関わらず、病気になることはない。冬場に腹を出していたら、すぐに体調を崩します。明らかに顔という部位は陽性が強く、陰に耐えます。

一方で、腹、すなわち内臓というのは陰の極みとなります。決して外に露出されることはない。だから、顔と腹はそれぞれ陰陽の関係が成立し、それぞれ対立しつつも連絡しています。なので、「顔が良くなる」というのは「五臓六腑が良くなる」ことと離れていません。
いや、身体の状態がよければ、必ず顔は良くなります。
それゆえに、我々は「美容」というものに関心をもち、興味を持って学び続けているわけです。顔を大切にしないものに、養生などあり得ないのです。
また、五行論では、顔の状態は「面色」と言って、火に属します。
そして、火の臓は「心」です。
つまり、顔というのは「心の臓」とつながっており、その心の臓は精神活動を司る臓であります。
顔色を伺うとはよく言ったものです。
顔を見ることは美容だけでなく、病証を見るのにも非常に重要です。
さらに、顔色を作っているのは、決して心の臓だけではありません。

この辺も、不勉強な鍼灸師の方は理解されていないのですが、色を為すのは気血であります。
すなわち「気」を司る肺の状態もよく見えるわけです。もちろん、他の臓の状態も分かるわけですが、「おもに」心肺の状態が見えてくる。この「おもに」というのが、学校の紋切り型の東洋医学しか学んでいない鍼灸師さんには分かりません。
この肺というのは衛気と深い関連を持ちます。
衛気というのは体表部を覆う気のことで、外邪の侵入を防ぐ免疫能を担当する気です。
つまり、顔を良くすることは、「治未病(未だ病まざるを治める)」に通じる、養生において非常に重要なファクターなのです。
当院の美容鍼というのは、造形美よりも、こうした事情を重視していると考えていただいて良いでしょう。
健康に生きるために、良い顔で生きるべきなのです。
僕自身も顔のスキンケアには時間と金をかけているタイプです。
ここ最近は、とりわけ日焼けが心配で、UVケアに余念がありません。これは「カッコよく生きたい」というのが半分、「健康に生きたい」というのが半分なのです。
いや、本音を言うと「モテたい」が大半ですが。
冗談はさておき、顔を良くすることは東洋医学の基礎から見ても、非常に重要なことなんです。

男性の寿命が女性よりも短いのは月経(非人為的な瀉血に相当する)の有無などの諸説はありますが、スキンケアへの意識もわずかばかりでも関係するのではないか。最近では、そんな風にも思っています。まずはUVケアだけでいいから初めてみてください。数ヶ月続けると、疲れ方がまるで違うことに気づけるはずです。恥ずかしがらず、院長の福本先生に相談してみてくださいね。ケアの仕方も丁寧に教えてくれるはずです(この辺に関しては、彼女のほうが、はるかに詳しいです)。

当院の「KAO」コースは男性にも受けていただけます。
ご自身の顔がしっとりもちもちになるのを実感いただけますよ。そして、しっとりもちもちの肌というのは、免疫能がしっかりと働いている肌でもあるわけです。
ご主人を馬車馬のごとく働かせるためにも、父の日のプレゼントにいかがですか?

また、顔相を整えることで、運勢(=力強く生きていく姿勢)も整ってきます。より良く生きるために、数ヶ月に一度で良いので、「KAO」コースを受けてみてください。
決して安い金額だとは思わないけれど、こうした東洋的な思想がベースにあることを理解いただければ、決して高いものでもない。

当院のスタッフさんたちは、相当の東洋思想の学びをしています。
この点においては、どの鍼灸院とも比べられるレベルですらないということを多くの方に知っていただければな、とオーナーとして思うばかりなのです。

では、ご予約、お待ちしております。

 

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